「学美」を愛し、励ました「仲間」
  (学美中央審査委員長 朴一南) 2016.11.07 朝鮮新報

 naka22016年10月8日午前1時11分、鳥取大学准教授・仲野誠先生が癌の闘病の末、永眠された。 享年51歳、余りにもお若く、余りにも突然の悲報に胸が張り裂ける思いだった。
 仲野先生は誰よりも在日朝鮮学生美術展(学美)を愛し、そして社会学者として民族教育と在日コミュニティの大切さをご存知であった。

 仲野先生と初めてお会いしたのは2008年3月、ウリハッキョ(朝鮮学校)がない鳥取で県内に住む日本人有志たちによって結成された学美鳥取展実行員会主催による「第37回在日朝鮮学生美術展鳥取展」である。
 温厚な人柄と幅広い知識、謙虚な姿勢に誰もが好感を持った。その後学美にこれ程多大な影響と、仲間として同じ夢を追う同志として深い親交を結ぶとはその時は知る由もなかった。

 先生が朝鮮大学校で行われる「学美中央審査会」に初めて足を運ばれたのは2009年だった。2011年からは毎年参加され、審査から作品梱包作業まで、一週間の全日程を我々と寝食を共にしながら一緒に仕事をした。3年前からは鳥取大学仲野ゼミの学生と共に全国朝高美術部合同合宿に参加、「ちゃぶ台返しの学美」というテーマで講演し、既存の日本の教育では成しえない素晴らしい財産を君たちは築いていると朝高生たちを励ましてくださった。
7c3d0572
 昨年の中央審査会にはそのゼミ生と島根県まで広がった学美山陰地方実行委員会のメンバーをはじめ多くのゲストが参加し大いに賑わった。また、在日コミュニティを体感すべく岡山の運動会や各地で開催されるウリハッキョの行事にも参加、同行した学生たちの大変感動的な感想文は一粒出版の「朝鮮学校のある風景」31号から連載されている。

 仲野先生は学美に何を見い出し、何を感じたのだろうか…。
 「他人の価値を生きないヘッドライト型知性の人間を生み出す学美」「みんなが揺れる学美審査」「魂の表出、学美」「社会関係資本としての学美」「『はみ出す』学美」「感染(伝播)する学美」など毎年、仲野先生は学美中央審査会に参加される毎に、在日コミュニティとウリ民族教育が創り育んだ我々学美に素晴らしい言葉を残して下さった。また、「この時代の課題を乗り越えていく可能性を秘めた学美」「この時代を生きる同時代人たちの利益につながっていく」と、学美が世界へと発信する大いなる勇気を与えてくれた。

 9年前に学美で出会い、共に仕事をし、共に笑い、共に感動し、共に飲んで、共に語り、共に夢見た、いつの間にかその場にいて当然のような仲間であり同志でもあった大切な人を喪ってしまった。
 これかも、学美の傍らにいつもいて、叱咤激励してくださることを願ってやみません。

心よりご冥福をお祈り申し上げます。

  
「朝鮮学校のある風景」より
■「仲野先生 追悼特集

■「仲野先生が育てた芽を枯らさぬように

連続レポート 日本の大学生が経験した朝鮮学校
 仲野先生と鳥取大生の「学美」レポート
この時代に在日朝鮮学生美術展と出会うということ